霜月 朔(創作)

Open App


あなたとわたし



私と貴方は、
夜にだけ寄り添う、
幻の恋人。

夜明けが近づくけれど、
まだ、夢の中で、
心はそっと重なり合う。

月明かりが消えても、
貴方の温もりは、
私の胸に残る。

でも、朝が来れば、
私たちはそれぞれ、
現実へと戻るだけ。

名前のない関係。
恋人とは呼べず、
友達とも違う。

けれど、心だけは、
繋がっていると信じたい。
この一瞬の夢の中で、
貴方は確かに、
私のものだったから。

また夜が来れば、
貴方は私に微笑んでくれるかな?
それとも、
この一夜が、最後の夢なのかな?

未来を知る事は出来ないから、
今はただ、この思い出に、
身を委ねて、眠りたいんだ。

いつかまた。
貴方と手を重ねる夜が来る事を、
願いながら、
そっと目を閉じる。

朝が来れば、
貴方と私は、
互いの影を心に刻んで、
日常へと溶けていく。

「さよなら」じゃなくて、
「またね」って、呟いて。

11/7/2024, 9:30:43 PM