ナナシナムメイ

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〈お題:誰もいない教室〉

廃校になった。或いは閉鎖された。更には休校日など、候補はあるけれど、僕は殺風景としか形容できない教壇と丁寧に並べられた机と椅子を認めた。

僕は徐に、そして赴くままに教壇に手を掛けて教室を見渡した。この空間の唯一の観測者にして、干渉者。埃の在り方すら定める立場に立っていることを確信した。

今いる場所こそが、大地を踏み締めた痕跡のみが覇道。朝、陽の光を淫らに反射するだけが畏怖の証明。

___歩を進める度、舞い上がる塵。

深く息を吸う。“ゲッッ…

9/6/2025, 1:17:15 PM