溢れたアイスクリーム、その雫の向こうで、君が細く微笑んだ。暑さにやられたのかな、熱を帯びた自分の脳は、君の一挙一動に目が離せず、瞬きをするその仕草すらも、愛おしい。
そう、愛おしい。好きだ、でも、愛してるでもなくただ、ただ愛おしい。
「アイス、溢れてるよ」
君の指摘にはっとした僕。気がつくとTシャツにアイスクリームがこぼれ落ちていた。
「ださ、子供か」
君がしょうがないなとでも言うように、笑みをこぼした。拭いてあげようと、手を伸ばした君の手を僕は掴んで、引き寄せた。
「暑い」
そう言う君の髪を撫でた。
愛おしい、と言うにはまだ幼い僕らの関係性。
それでも暑さにやられた脳は点滅信号を発する。
君の存在を僕の中からこぼしたくないのだ。
8/12/2025, 5:17:29 AM