「シロクローシロクロー」
彼女は不思議な呼び方をしていた。
「なんだそれ」
「近所の神社に住み着いた猫。鬼可愛い」
ずいっと見せてきた猫は白と黒のハチワレだった。目元も黒くてパンダのようだ。
「パンダみたいな名前にすりゃよかったのに。マオマオとか」
「漫画キャラと被るからなあ」
シンプルが1番だよ、と言いながらシロクロと呼ぶ声をやめない。
にゃー、と言う声と共に写真と同じ顔をした猫が擦り寄ってきた。
「ねえ、飼えない?」
「は?」
「ママがアレルギーなの」
「なんでその状況で餌付けしたんだよ」
ひょい、と抱き上げると手にほおをすり寄せてくる。顎に手を当てるとゴロゴロ鳴き始めた。人懐っこいな。
「こんな子が野良で生きていけると思う!?」
「お前全部計算してたな……やけに雑な名付けだとおもった」
「シロクロはシンプルイズベストでしょ!?」
「本気だったのかよ怖ぇ……なんだこいつ……」
名前だがシロクロは直接的すぎたのでモノクロにした。
彼女はずっと文句を言っていたがモノクロがにゃーと返事したのでしぶしぶ了承していた。
白黒写真でも映えそうね、と笑うのは彼女で。
そうして今日、モノクロのおかげで彼女は俺の部屋にいる。にゃあ、と足元でおやつをねだられた。
【モノクロ】
9/30/2025, 9:34:11 AM