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8月、君に会いたい

 8月。それは俺にとって特別な月だ。夏休みだからという訳では無い。確かに高校生である俺にとって、夏休みが特別であることに代わりないが、それよりももっと特別な理由がある。
 
 その大事な理由というのは、俺の大親友であるダイちゃんが、この地元に帰ってくるのが8月なのだ。
 高校にあがると同時に、ダイちゃんは東京へ行ってしまい、中々会えなくなってしまった。しかし、夏休み期間中の8月には地元に帰ってくるのだ。

 去年、ダイちゃんが帰ってから、ずっとこの日を待っていた。今日がダイちゃんの帰ってくる日で、昨日から楽しみしていた。そして、今の時間にはとっくにこっちに着いて、俺と遊んでいるはずだったのに、ダイちゃんはここに来ていない。

「ねぇ、母さん!ダイちゃんまだー?」
「さっきから何回聞くんだい!途中の電車が遅れてるからまだ着かないって、さっきから何度も言ってるでしょ!」

 ダイちゃんが乗ってくる電車が遅延したせいで、こっちに来るのが遅れているのだ。さっきから何度も同じ会話を繰り返しているせいで、母さんに怒られる。でも仕方がない、俺はダイちゃんが来るのが待ち遠しくて仕方ないんだ。

「ダイちゃんまだかなぁ……」

 8月は君に会いたくて仕方がない。

8/2/2025, 9:42:40 AM