小音葉

Open App

約束された未来を捨てて
祈り続けた明日を裏切り
刃を携え、ここまで来た
過去に囚われた忌まわしい心
持たずにいられたら、正しく在れたのだろうが
落日の瞳を忘れられない
愚かな残滓に、どうか手向けの漣を与えて欲しい

燃えるような春だった
鮮烈に塗り潰す彩雲と暈が恐ろしかった
まるで空を掴んだような高揚
雲より軽く、鳥と並んで舞い遊ぶ自由
百花繚乱たる記憶の栞
いまや焦げた胸を刺し穿つ無彩色の毒針と化した
悲しみを摘んで、せめて回生を願えたら良かったのに

口元から溢れる天蓋花
導かれる極楽が無くとも、想うはあなた一人
遠ざかる慟哭に雨が降り注ぐ
せめて頬濡らす幼子が泣き止むように
零れた灰など忘れ、天弓を仰ぎ笑えるように
閉じた瞼に桜流し
青を洗う浄罪の路へ

(涙)

3/29/2025, 11:24:21 AM