未知亜

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ㅤ寝返りの気配に目を開けた。こちらを向いたきみは、目を閉じたまま身体を震わせる。

ㅤずれた毛布を整えて、鼻先に頬を寄せた。まだ少し濡れる睫毛。

ㅤさっき無意識に呼んだ名前を、密やかに呟いた。幸せな響きに唇が緩む。

ㅤうっすら届く月明かりもやわらかな寝息も、白い肌で上下する淡く散った紅色も。

ㅤ隣にきみがいる。それは美しい夜。


『美しい』

6/11/2025, 8:10:29 AM