権力者用に用意されてる部屋ってのがある。
めちゃくちゃ狭い。
ベッドがあって、机と椅子があって。それで終わり。
お腹も減らない、のども乾かない。寝る時間だって必要はない。必要ないんだけど寝たいから寝てる。そういうのだっていっぱいいる。
とにかく権力者用の部屋というのはとにかく狭い。家具が少ないんじゃなくてとにかく置けない。
本棚とか置きたかったけど全然置くとこがなかった。そのレベル。
そんなわけで部屋で出来ることが全然ない。寝るか報告書を書くかの二択。
でも、ボクは結構な頻度で机に座って真正面にある窓に目を向ける。めちゃくちゃ明るい陽の光がさんさんと差し込んでくるけどボクは演奏者くんのことを考えて微妙に憂鬱になってる時しかそんなことをしない。
彼のことが好きという気持ちがある。それは一目惚れから始まって、彼のことをどんどん知ってくうちに更に好きになった。
でも同時にボクは彼のことを全く読めてない。何を考えてるのかも、なんでここにいるのかも、ボクといる時にどんな気分なのかも。だからそれが少し怖い。
ボクと話して彼はどう感じたのかを表情とかから予想して、ボクへの好意がないことを再確認する。それによってボクの恋心を無理やり消そうとする。
それが、いつものルーティンだった。
6/4/2024, 4:13:04 PM