ゆじび

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「手放す勇気」


幸せを手放す勇気はある?
命を手放す勇気はある?
未来を手放す勇気はある?
怖いな。苦しいな。
でも貴方がいない世界を生きる勇気はない。
貴方を手放す勇気はない。
だから私は貴方に託して消えるんだ。
私の名前は親が私を想ってつけてくれた。
だから私も自分の子にぐらい名前をつけてあげたかった。でももう無理なのね。
名前がないからって愛されていなかったなんて勘違いしないように、ちゃんとちゃんとあの娘を見守っていてね。
先に行くわ。
愛しの貴方。
私とあの人の可愛い貴方。


妻が消えてからどれほどたったのか。
...いや、消えたんじゃない。殺したんだ。
他でもない僕が。
僕が守りたいと想うのは貴方だけなのに。
貴方を守れなかった。
逆に僕は助けられた。
悔しい。申し訳ない。
でも、その前に僕は僕が憎くて仕方ない。
酷い話しじゃないか?
僕は僕を責める事は出来るのに、彼女は僕を責める事は出来ない。こんな世界はおかしいのかな。
でも僕はこの世界が大好きだ。
君と僕が出会って、未来を誓い合って。
子宝に恵まれて。僕はあの娘と共にまだ生きられている。
貴方の元に逝きたいって何度も願った。
でもその度に踏みとどまれたのは、間違えなくあの娘のおかげ。
あの娘に名前をつけたいって何度も言っていた貴方は名前をつけられなくて、申し訳なくなってしまっているのかもしれない。
だけど君の分僕は愛を込めて名前をつけた。
でも僕じゃ君みたいにうまく子育てする事も出来ないし僕じゃ君の分まで愛せない。
でも、僕は僕なりに頑張っているつもり。
あぁそうだ名前を決めたんだ。
君が気に入ってくれるのか心配だけど何度も何度も考えたんだ。
「笑紡」えな
僕なりに頑張ったつもりなんだけど。
微妙だったかな。
一応由来もあるんだけど
ずっと笑顔で居られるようにって。
自分の命を回りの命を紡いで居られるようにって。
幸せを紡ぐ言葉を紡げるようにって。
どうかな?
君がどんな名前をつけようとしたいたのかは分からないけど僕はこの名前がこの娘、笑紡にぴったりだと想ったんだ。

君が僕をかばって事故にあった時は本当に酷い気分だった。
でも、君が産んだ笑紡を一目見たとき少し心が軽くなったんだ。
もしかしたら君は僕に出会わなければもっと長生き出来たのかもね。
でも僕はきっと君に、笑紡に出会わなかった世界で
生きる勇気はないと思う。
君に合えてよかった。
気長に待っていて。
いつかは必ず君に会いに行くから。
その時は君の暖かい手で僕を抱き締めて。


そのときまで、バイバイ。




僕の最愛の彼女さん。

5/17/2025, 10:42:54 AM