代理(特に何も無い学生)

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「無理しなくて良いんですよ。」
私はこの現実の絶望を現実逃避するために煙草に手を出してしまった。
其処であの隣人さんに吸っている所を見られて、何があったのか話してみると、そう言われた。
「私、結構不幸体質なところもあって、昔から彼氏とか作りたく、…無いんだよね。その人も不幸になってしまうのが怖くてさ。」
私がそう言うと、話を聞いていた隣人さんは煙草を吸っている手を止めた。
「だから、今回の遠距離中の彼氏も…亡くなってしまったんです…」
私はあの脱線事故の事を思い出して、思わず涙目になる。
普通に声が出ない、どうしても震えてしまう。
私は火を消していない煙草を手で握りつぶすように持った。
ジュッ、と手が火傷していることにも気付かなかった。
「…家、来ます?此処で話してたら、誰かと会うかもしれないし。」
「え、良いんですか…」
珍しく隣人さんが私にそう言ってくれた。
一人暮らしの男の人の家は危ないという言葉は私の中に今は無かった。

8/6/2024, 1:02:01 PM