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書く習慣:本日のお題「二人ぼっち」

実家で犬と留守番するとき、「今日は二人ぼっちだねえ」と話しかけている。茶色いダックスフントは小首を傾げ、垂れ耳がぱたりとかすかな音を立てる。

留守番と言いつつも、特に宅配や来客の予定がなければ、犬と出掛けてしまうこともある。玄関の上がり框から庭までの段差は、犬を抱き上げて移動させている。段差を飛び降りるのは、ダックスフントの腰に悪いからだ。

「お散歩いく?」と言って抱っこしようとすると、素早いステップで後ずさり、ソファの裏に逃げていく。リビングで追いかけっこした末、ようやく犬を確保する。

天邪鬼な犬はこの追いかけっこイベントが好きなようで、「行きたくないならいいよ」と家族が取り合わなかった時は、拗ねた犬が腹いせしていた。

基本的に抱っこが嫌いな犬だが、お出かけに伴う抱っこは比較的おとなしくしてくれる。報酬があるなら人間の言うことを聞く、実にお利口さんな犬である。

庭に下ろされると、犬はあちこち匂いを嗅いで回る。最近の言い方だと「クン活」というやつだ。

母が手入れをしている庭では、季節ごとに花が咲く。「薔薇の木に薔薇の花咲く なにごとの不思議なけれど」という詩があるけれど、小学校の朝顔レベルから植物の世話が苦手な私には、植物が毎日つつがなく生きていることさえ「なにごとの不思議」状態である。

犬にとって、外でさまざまな匂いを嗅ぐことは、人間がスマホを触るのと同じかそれ以上の楽しみらしい。

我が愛犬の場合は、特に地植えの植物に長い鼻面をつっこんでフンフンやるのが好きなようだ。「お鼻に虫が入るよ」とたしなめても夢中で嗅いで、案の定ちっちゃい虫が鼻にくっついてしまう。短い前足で一生懸命に鼻を掻こうとしても全然届いてなくて、口元のあたりをこすっている姿はとても可愛い。虫を取ってやると、犬ドリルで茶色い残像になってから尻尾を振る。

庭のクン活を終えても家に戻りたがらない時は、追加で公園まで連れていく。庭で満足したら自ら玄関ポーチの真下まで歩くし、そうでなくとも「おうち入る?」と聞くと家に向かって歩き出す。

しかし、うながしても動かない場合がある。「庭のクン活は終わったけど、もう少し外にいたい」という気分だと解釈し、数kgの犬を抱き上げて数百m先の公園まで連れていく。帰省して最初のうちは途中で犬を下ろして休憩を挟むが、慣れてくるとノンストップで公園にたどり着けるようになる。

公園まで連れていく方法は、人間の個性があらわれるポイントだ。親はサクッと車を出すが、完全ペーパー免許の私は犬を抱いて徒歩である。同じく運転しない派の妹は、肉体労働で解決する私と異なり、犬用の台車みたいなやつを導入して賢く犬を運んでいた。

公園のいちばん奥にある日陰棚のベンチまで犬を運び、犬を地面に下ろしてひと休み。犬も人も水分補給して、スマホで記念撮影し、家族にLINEで「公園に到着」と共有するのがお決まりの流れだ。

犬が「私帰る!」と言わんばかりにすたすた歩いて家に向かうので、犬のペースに合わせて歩いて帰る。人間は往復1km弱、犬は片道分の運動になる。

家に到着したら犬の足を洗い、お散歩の報酬にヤギミルクを足した水を飲ませて「お出かけ」は完了だ。

犬を観察するのは面白いし、犬の言いたいことや感じていることがわかると楽しい。特に「トイレに行きたいが、ソファから降りるのはめんどくさいので下ろしてほしい」という要求吠えを突き止めた時は脳汁が出るほど達成感があった。

犬も私との「二人ぼっち」を楽しんでくれていたらいいなと願っている。

3/22/2026, 10:02:10 AM