高く高く、誰よりも高く翔べ。
「彰宏(あきひろ)っ!早くっ!!」
「はいはいはいっ!」
「何で彰宏は何時もこうやって時間にルーズなのっ!!こういう事で後で後悔することになってもしらないよっ!!」
「えへへ、後悔することにはならいね。
真昼(まひる)がいるから」
「…………(# ゚Д゚)馬鹿言ってないで早くいけっ!!」
私の彼氏、彰宏はとても時間にルーズでのんびり屋。遅刻なんて日常茶飯事。
そんな彼でも、人々は彼に一目を置く。
何故なら、陸上高跳びの日本記録保持者になったからだ。
「間に合った?」
社会人陸上部の先輩マネージャー、夏美さんに聞かれた。
「はい。何とか間に合いました。といっても、すぐに出番来ちゃうんですけどね」
彰宏の順番はこの次の次。
本当にギリギリだった………。
「今日は?調子良さそう?」
「どうでしょう?いつもの感じと全然変わらないですし、仮に調子が悪くても何時と変わらないから、難しいんですよね」
「そんなもの?お付き合いしてても」
「はい。私にはまだまだ……。修行ですね」
彰宏とお付き合いを始めてから3年近くなるが、まだまだ掴めない事もある。
けれど、最初の頃に比べれば気付けることも増えてきている。
うん。まだまだ!
「あっ、来るんじゃない?」
ついに彰宏の番が来た。ウォーミングアップも良い意味で完璧(笑)
彰宏が、出てくると会場は歓声に湧く。
今日も彰宏に合わせて手拍子がなる。
翔べ、高く!誰よりも、高く!!
翔んで見えた景色を私に教えて欲しい。
助走からの足音が聞こえる。
そして、舞い上がる。
空、高く。
10/15/2023, 12:44:10 AM