窓越しに見えるのは君。
君は、上から吊るされた縄を首に掛け、台の上に立っていた。
その行動から僕は、君が何をしようとしているか察し、僕は大きな声で止めるように催促した。
喉が枯れるくらいに。
だけど、君にはこちら側の声は聞こえないようで、その行動をやめなかった。
僕はただ、窓に張り付いて、あちらを見つめる他なかった。
君は首を吊った。僕は悲しかった。又、嬉しかった。
僕が居なくならなければ、君は命を諦めることは無かったのかもしれない。悲しい、だけど、君が僕のために命を諦めてくれた事が嬉しくもあったのだ。
そんな矛盾だらけの僕に、魂だけとなった君が此方を向いて『ただいま』と微笑んだ。
君がそう言い終えると、僕はいつ流したか分からない涙を拭い、『 お か え り 』そう言って、僕は君に笑いかけた。
お題【 窓越しに見えるのは 】
7/2/2023, 4:38:05 AM