「記憶の空」
子供の頃、自分が住む東京の空と、祖父母が住む田舎の空は違う空だと思っていた。
昼間は青い色の濃さが違うし、夜は星の数が違うから。
もしも都会の灯りが全て消えたら、どれくらいの星を見ることができるのだろう。
手を伸ばす。
片手で足りてしまう空の光の数。
祖父母の家からは、天の川も見えたのに。
今はもう無い祖父母の家の庭から見た空。
記憶はどんどん薄れていくのに、あの星空だけは覚えている。
それを忘れたくなくて、もっと多くの星を見たくて、私は辺鄙な場所を選んで旅に出る。
────星空
7/5/2024, 2:55:19 PM