もしも世界が終わるなら
……くだらないもしもの話
そう思っていた
それなのに、今では現実になってしまっている
あとどれくらい持つんだっけ、この世界?
「二日ですね
あと二日で完全消滅してしまいます」
その短い間に、残りの住人の魂を回収しろってことだね
私はこんなハードで責任の重い仕事、したくないんだけどしかたない
私と相棒にしかできないから
古代に封印されてた大量の魂を刈り取る禁断の魔法を改造して、別の生まれたての世界に刈り取った魂を転生させられるようにしたしたらしい
今はもう魂だけになった七賢者の皆さんがね
私と相棒はその魔法を使いこなせた
なんか、使いこなせた
七賢者は改造しといて使いこなせず、魔法を発動する道具だけ私たちによこして、とっとと魂を刈り取られてもう転生待ち
それにしても、間に合うのかなこれ
「元が大量殺戮兵器ですからね
残り人口を考えれば、順調にいけばギリギリ間に合いますね
問題は、私たち以外この道具が救済のための物だと理解していないことです
刈り取る時の罪悪感、ハンパない」
私たち、世界終焉を前にして狂ったテロリスト扱いだもんね
刈り取るのがかなり心苦しくて、精神的にだいぶキツい
いいことをしてるはずなのに
「それでも、やるしかないですよ
生かすために一度殺すのです」
そうだね
あなたがいてよかったよ
ひとりじゃ病んでただろうから
「それは私も同じことです
感謝してますよ」
ところで、全員終わったらどっちから先に死ぬ?
「私があとから新しい世界に行きますよ
あなたでは私の魂を刈り取る仕事、とんでもなく苦痛で悲しいでしょうから」
そこまで考えてくれてたか
ありがとうございます!
じゃ、遠慮なく殺されるよ
でも、あなたは平気なの?
「余裕ですよ
状況を理解してる人が相手ならね」
そこは割り切れるんだね
「ま、全ては世界に残り二人だけにならなきゃ、しょうがないですけど」
そうだね
じゃ、残る魂をサーッと刈り取って転生させますか!
9/18/2025, 11:38:01 AM