ささほ(小説の冒頭しか書けない病

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通り雨

午後休憩でお茶を飲んでいたら、緊急速報で通り雨の予報が送られてきた。またかと思いながら重い腰を上げる。通り雨がくる以上安穏とお茶を飲んでるわけにはいかない。作業場に行くと、ぶーぶー文句を言いながらも全員集まっていた。重要性も緊急性も全員が承知しているのだ。基地の長として私は命じる。

「総員武器を持って持ち場につけ」

硫酸の雨を撒き散らしながら通り雨がやってくる。やつら、雲状超硫黄分子生物通称通り雨はこの惑星の先住生物だが、人類のこの基地を破壊するやっかいな連中だ。意思疎通はできた試しがない。ふわふわした綿雲のような外見はある意味可愛げがあるが、やつらがいる限り基地を安全に保つことはできない。この基地は当初攻撃されることを想定していなかったため攻撃手段はすべて後付けだ。やつらは一地方の気象現象だと思われていた。意志を持って攻撃するとは予測されていなかったのだ。

通り雨のあと溶けた穴だらけになった基地の外装を補修する。できる限りガラスで覆われている基地だがすべてをガラスで覆い切っているわけではないので通り雨のあとはいつもこんなものだ。今回もひどい通り雨だった。死んだ通り雨たちがぐずぐずと地表を溶かしている。地球のような風情ある通り雨はこの惑星に存在しない。水だけを落として通り過ぎる地球の雨が懐かしい。

9/27/2024, 10:53:47 AM