月影

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私は必死になって走っていた。
――憧れは憧れ。
――背中を追いかけても無駄。
――凡人は凡人らしくしてればいいのに。
 口々に放たれる声、小さい針で胸をチクチクと刺されるようだった。それでも私はあの人の背中を追いかけた。
 毎日毎日毎日毎日、練習に明け暮れた。
まだ見ぬ世界はまだ遠い。
けれど。
私はあの人の背中を追いかける。
隣りに立てる日まで――。

6/27/2025, 12:10:14 PM