失恋とはどんなものなのだろうか。
ふとそんな疑問が頭の中に浮かんだ。
今は数学の時間で、先生が黒板を使って問題の解説をしている。
先生曰く、その問題は「とても難しい問題」であるそうだが、僕の手は問題を解き終えるまで1度も止まらずに答えを導き出した。
数学は得意だ。
使う公式が決まっているし、それに当てはめるだけで答えは出る。解き方が何通りかある問題もあるが、最後は同じ結論に至る。明確な答えがでる数学は、僕にとって、分かりやすくて簡単なものだった。
だが、国語はあまり得意では無い。
国語には明確な答えが存在しないのだ。
にも関わらず、大人は僕達子どもにそんなぼやけた答えを導き出せと言う。
解答をみても、あくまで解答例が書かれているだけで、これと僕の答えが多少の違いがあっても許されるのだ。
特に小説なんかは、1番嫌いだ。
「登場人物の気持ちを述べなさい」という問題がテスト用紙にあるのを見た途端、その用紙を思いっきり破りたくなるほどには嫌いだ。
話の中で「Aは悲しい気持ちになった」「Bはとても嬉しくなった」などというような直接的な表現をされているならまだ文句は無い。
問題はほんのりと香る程度の表現しかないにもかかわらず、登場人物の心情を問うてきた時だ。
初めてその問題に出会った時は「は?」と思わず呟いてしまった。
だってそうだろう。
ちゃんと書かれていないのにも関わらず、気持ちが分かるはずがない。
その時の問題では文中で「泣いた」という言葉があったから、「CはAとの別れを惜しんで悲しいんでいた
」と書いてテストを提出した。
後日、返却されたテストには、その僕の解答にチェックマークがついていた。
一緒に配られたテストの解答を見てみると、「CはAとの別れを内心喜んでいた」と書かれていた。
先生の解説によると、文中の所々にCがAを避けていたり、憎んでいる様子が書かれていたそうだ。
あ
失恋
6/3/2023, 4:24:19 PM