「冬晴れ」
*何これ作品です。ボツにしたかったのですが時間がなかったので諦めました。
その日は酷く寒い冬の日だった。
外は風が冷たく吹き付け、より一層、寒さを感じさせた。
腕や足、耳、手といった露出している部分が寒さで赤く染まり、震えも出てくる。
理由もなく家を出てきた自分を後悔した。
何か用事があったわけでも、行く宛てがある訳でもないのに、気づいたら外に出ていた。
宛もなく彷徨う事はその日に限ったことではなかったが、酷い寒さが襲う日にわざわざ放浪するものだろうかと、道すがら自分のことながら疑問に思った。
だが、その答えはすぐに見つかったように思う。
小道を抜け、通りに出ると1面に広がる海
そして空には雲ひとつない青空と、この寒さを表す色とは真逆の赤やオレンジといった温かみを感じさせる色をした太陽が空高く昇っている。
海を近くで見ようと海岸へ歩いていくと
程なくして海沿いに着くと、これまた寒さとは結びつかない半袖のセーラー服を着て、サンダル姿少女が見えた。
私はその少女に近ずくように歩みを進める
すると少女も歩調を私に合わせるように、私が進んだだけ前に進む。
私が止まれば少女も止まり、私が進めば少女も進む。
冷たい海水に足が浸かると寒さが一気にまし
体から体温が奪われていく感覚がする。
海水に浸かっている足から冷たさが伝播するように身体に広がっていく。
何かを察知してか悪寒が走るが
それでも歩みを止めることはせず
1歩、また1歩と歩みを進めた。
浸かる面積が増えるにつれ、体の体温も奪われていく。
体が危険を知らせるように身震いする。
肌が寒さでかじかみ、痛みも感じてくる。
それでも歩みを止めなかった
少女も、私も。
膝、腰、お腹、胸、どんどん浸かっていく体
深くなる水深。
奪われていく体温。
警告する体。
突き刺さる冷たさ。
少女の影は私が胸まで浸かった辺りから見えない
もう終わりかな。押し押せる波に足を取られる。
目の前が真っ暗になる。
海に写る自分の影を追いかけてここまで来た。
何もかも浮いている私にはピッタリの日かもしれない。
クラスで浮いている私。
私の周りには誰もいない。
雲ひとつない青空に寒さとは似ても似つかない印象の太陽が一層と目立って見える。
浮くなんてもうやだよ、お願いだから最後くらいは溶け込ませて。
海の底まで……
1/5/2023, 6:01:56 PM