雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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―ジャングルジム―

言えない。

昔、君とジャングルジムで遊べたのは、
君に会いたいがために、
いつでも勉強を強制して、
遊びなんてものを許さなくて、
私と周りの人との付き合いまで制限してくる親に
秘密で家を抜け出していたからだと。

最初はジャングルジムが怖くて、
1段しか登れなかったけど、
上に登っている君と同じ場所にいたくて、
頂上まで登れるようになったこと。

いつしか、ジャングルジムの頂上で
君と夕日を眺めながら色んなことを喋るのが
難しくて嫌いな勉強を頑張るためのご褒美に
なっていたこと。

公園に君が来ても、
いつも素っ気ない顔で振舞っていたけれど、
その顔の裏でどれだけ君が来てくれたことを
喜んでいたか。

そして、もう君に会うことが出来なくなって、
どれだけ私が絶望しているか。
君にこれらの想いを伝えそびれてしまったことを、
どれだけ悔やんでいるか――
なんて、もう絶対に言えない。
こんな私に残されたのは、
私を自在に操る親の手によって念密に作られた、
『世間一般的な優等生』の仮面だけなのに。

9/23/2022, 2:16:14 PM