粥井

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「半袖」と聞いて思い出したエピソードを一つ。

中学に上がってすぐの6月、冬服から夏服に変わるタイミング。
ブレザーを着用する必要がなくなり、私は意気揚々と半袖シャツ1枚で登校した。

学校に近づくにつれて気が付く。
周りを歩く生徒たちは皆、
シャツの上にベストあるいはセーターを着ていた。

おそらく自分の意思のみで行う初めての衣替え、制服の作法など未知な中学生には充分に恥じらいを与える体験である。

浮いていたであろう私は、
「暑いからあえてこのスタイルで着こなしているんですよ?」
という顔をしてどうにか1日を過ごした。

失敗を開示することもなく、指摘する隙も与えず。



その後の学生生活では、シャツの上には必ずセーターを着るようになった。

夏でも、余程暑くない限りは半袖シャツにセーター。
冬でも、室内は暖房が効いているということ、腕に直接柔らかい生地が当たる感覚が好きという理由で半袖シャツにセーター。

本当は暑がりのくせに、
「寒くてセーターを着ています」
みたいな顔をして学校生活を全うした。

背中や脇に汗をかいていても、なぜか汗をかかない顔にあやかって涼しげな表情をかましていた。


今思えば、中1の初夏のあの体験が根底にあったのかもしれない

誰も、私が本当は汗っかきなことを知らない
私も、誰にも知られないように振る舞っている

なんか、ずっと、そんな感じの人生

5/28/2024, 12:57:18 PM