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【カレンダー】


 おばあちゃんちにあった「日めくり」。毎日ちがう格言が書かれていて、幼心にもなかなか興味深かった。今思えば当時のそれは特殊な道話であって、どうりで母があえて触れようとしなかったわけだと、物心ついてから妙に納得したのを覚えている。
 それにしても、ある世代から上のご年齢の方々のおたくでは、トイレにカレンダーが置かれていることが多い。あれはなぜなのだろう。世界一有名なねずみさんたちの描かれた保険会社のカレンダー、接骨医院の卓上カレンダー、酒屋さんのシンプルな日めくりカレンダーなど、大きさ、紙質、仕様などの違いがあればさらに種類は多い。

 ゴッドハンドのいる整体に通っていた。先生のご自宅に伺って施術してもらうのだけれど、そこのお手洗いはすごかった。
 ドアには書道で格言の書かれた週めくりカレンダー。壁際の飾り棚には3つの立方体に書かれた数字でそれぞれ月日をつくる木の置物。ペーパーホルダーの上には手帳サイズの365日カレンダー。その上には「君ならできる!」とあの熱いひとが叫ぶ週めくりカレンダー。
…どうしてこれほどまでカレンダーが必要なのか。
なにか鬼気迫るものを感じる。
なにを確認しているのですか先生。
それはトイレでしないといけない確認なのですか先生。
私の仙腸関節は分かるのですか先生。
ほんとうに分かるのですか先生。ほんとに?え?

ひょっとしたら私もあと20年ほどするとわかるのかもしれない。カレンダーのカレンダーとして以上の存在意義が。

9/11/2024, 2:02:16 PM