砂浜を歩いていたらガラスの小瓶がコロコロと波に遊ばれていた。
私の近くに転がってきたタイミングでそれを拾ってみると、なんと中に紙のようなものが入っている。
コルクの栓を抜いて中のものを取り出して開いてみると、こんなことが書いてあった。
『開ける瞬間、わくわくしたでしょ?』
……ただそれだけ。他はなんにも書いてない。
確かにわくわくしたけども、そのわくわくを返してほしい気分……
しょーもない気分ってまさにこの気分だろうなあ……と思いながら私は手紙を元通りに折り畳んでガラスの小瓶に戻す。
そして海に向かってポイッと放り投げる。
波にさらわれた手紙は沖に向かって流れて……行かずに戻ってきた。
ならば仕方がない。
私は大きく息を吐いて小瓶を思いっきり海へと投げ飛ばす。
ボチャンと音がしたのを聞いてから私は振り返らずに砂浜を後にする。
後は野となれ山となれ。また小瓶が転がってても私はもう知らないからね。
8/2/2025, 12:38:06 PM