おわかりいただけただろうか……、と怖い声色のナレーションの後、あからさまにCGで造られた心霊映像が流れる。
お粗末な出来のソレを見ては、「ぎゃあっ」と悲鳴を上げて胸に抱きしめているクッションで顔を覆う君。
某ジャパニーズホラー映画が世界的に知られるようになってから、幽霊といえば白いワンピースを着た長い黒髪の女、とパターン化してしまった。
少し前なら墓場を徘徊する死神だったり、夜な夜な古城に現れる豪奢なドレスを纏った首の無い女とか、亡霊もバリエーション豊かだった。
不景気だからか、幽霊も質素になったんだろう。
世知辛いなあ、とひとりそんなことを思いながら苦笑。
温かいコーヒーの入ったマグカップを両手に持って、クッションと指の間からチラチラとテレビを見ている君の隣に座った。
テーマ「胸が高鳴る」
3/20/2024, 8:34:14 AM