シオン

Open App

「仲間が欲しい」
『いないよ』
 あたしの切なる願いはマスコットによって即座に切り捨てられた。
「…………欲しいの」
『物理的に無理なんだよ。魔法少女という生物はこの世に一人しか存在できないんだ』
「知ってる」
 耳にたこができるほど…………という訳では無いが、そろそろ聞き飽きるレベルに聞いたのだ、その話は。理屈も理論もよく分からないけど、どうやら二人目と契約することが出来ないらしいと。
「…………敵はさ、魔法少女の敵なんでしょ」
『そうだね。それ以外の何でもない。だから、一切興味が無い』
「……なんでそんな恨まれてるの」
 あたしがなんとなく投げた質問をマスコットは受け取らなかった。誰も何も言わない沈黙が少しの間場を支配した。日は西の空に沈もうとしていてカラスが無言で飛んでいく。
『魔法少女になったことを後悔でもしてるのかい』
 ふいにそう言われた。
 あたしはマスコットのこういうところが嫌いなのだ。姿形を見れば人間でないことは明らかではあるけれど、そうじゃない人外みたいな聞き方をしてくる所が。
 今の聞き方だってそうだ。あたしが絶対に後悔してると言わないと信じているかのように、またはあたしが後悔していることを嘲笑うかのように、語尾にハテナマークを付けないような喋り方をしてくるところが、それはそれは人間らしくなかった。
「……してるよ、後悔」
 別にどっちでもなかったけど、普通はそうかなと思ってそう答えた。マスコットは興味なさそうに頷いた。
『…………戦闘には参加出来ないけど、キミの死を見守ることくらいはできるさ』
「…………じゃあ、それで」

第六話 君と一緒に

1/6/2026, 4:30:55 PM