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風に身を任せ



今日はとてもよく晴れていた。
窓から外を見下ろせば、綺麗な花が咲き乱れていた。

窓の淵に座って、今から部屋に来る彼奴を待つ。ガチャリとノブを回す音を聞いて、チラリと視線をそこに移す。彼は少しだけ止まったあと、すぐに私の方へ駆けてきた。それがとても愉快だったので、もっと揶揄いたくなった。彼が私の腕を掴んだ瞬間、思い切り体重を後ろにかけて、窓から落ちた。
ヒュッと息を呑む音が聞こえ、彼の顔は真っ青だった。



少し揶揄いすぎただろうか。腰から翼を出す。天使のように綺麗な物でもなければ,神聖な物でもない羽。
地面スレスレでちょうど止まった。



「く、ふ、…ははは!」
可笑しくてしょうがなくて、笑いが止まらなかった。
だが、やはり所詮吸血鬼。肌がチリチリと焼けていて少し痛かった。
彼を見ると、やはり顔面蒼白で私に何か言おうとしている。






窓の空いた部屋のベッドは、無理矢理剥がされ取られたであろう医療器具とチューブが、乱雑に地面に転がっていた。

5/14/2024, 1:41:33 PM