霜月 朔(創作)

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約束



冷たい夜の風が、
静かに頬を撫でる。
独り影を踏みながら、
空を仰ぎ、星を数えた。

お前は覚えているだろうか。
あの日交わした約束を。
変わらぬものなど、
ないと知りながら、
それでも、信じた誓いを。

あの日、瓦礫のように、
崩れ落ちた日常。
拾い集める事も出来ず、
ただ、砕ける音だけが響いた。

もう二度と、
温もりに希望を探しはしない。
もう二度と、
お前の名を呼ぶこともない。

それでも、まだ。
私の胸の奥には、
鈍い灯が残っている。

もし、これを、
約束と呼べるのなら。
せめて、最後まで、
燃やし尽くそう。

そして。
お前の幸せを祈ろう。
二度と交わらぬ道の先から。

3/4/2025, 5:44:05 PM