届かぬ想い 風が有栖の周りで舞った。 さっきつけた線香の煙が、あたりに漂う。 有栖は目を開け、合わせていた手を下ろす。その瞳には後悔と寂寥が混ざっていた。「また、来ます」 有栖は墓の主にそう告げると、立ち上がった。「もう、貴方に届くことはないのは分かっていますが」 伝えたかった。でも伝えることは出来なかった。「貴方のこと」 有栖は口には出したが、風がそれを消し去っていった。
4/16/2026, 9:29:34 AM