回顧録

Open App

あいつの目ってめっちゃ綺麗やねん!
きゅるきゅるしてて子犬みたいで可愛いがどうしても先行してまうんやけど。
キラキラと澄んでいて星空みたいやなって、思う。
全然ほんまの星には興味無いんやけど。

それを本人に言うたら、あいつは「それはあんたがほんまの星空見た事ないからや」って言いやがった。
素直に喜べや。褒めてんねんぞ。
「満天の星空って綺麗やねんで」
と風景を思い出しているのか、目をキラキラと輝かせる。
「いつか見てほしいわ、感動するくらい綺麗やねんから」
それやったら常に俺は感動してるわ。
汚い大人たちを見ても、全く濁らないお前の瞳に。

そして、月日は経ち。
俺はなんだか気恥ずかしくなって、あいつの目を見れなくった。いや、見てはいる。
目を合わせられなくなった。でも好きなんに変わりはないから、気づかれないように見ている。ガン見。でも俺が盗み見上手いんか知らんけど、あいつ全然気付かへんねん。
しょうもないスキルだけは身に付いていく。
汚い大人になっても相変わらず、こいつの目は濁らへん。
綺麗なもんや。肺とスケジュールは真っ黒やのに。

そんなある日、友人達とキャンプに行った。
あいつも一緒や。俺とあいつが友人やからなのか、俺とあいつに共通の友人が居るからなんかは分からん。

みんなでテント立てて、BBQして、酒を飲んで、片付けして、酒飲んでおやすみー言うて、酒飲んで、ふと空を見た。
確かに空気が澄んでいるから、空が綺麗だ。
でも目が慣れていないからかそんなに星は見えない。

「綺麗やな」

いつの間にか隣に来ていたあいつが星を見上げながら言う。
思わず息を飲んだ。星空だ。
あいつの瞳にはこんなに沢山星が見えているのか。
確かにこれは、

「綺麗やな」

流石にお前の瞳が、とはクサすぎて言えへんかったけど。

『星空の下で』




作者の自我コーナー
いつもの。
何だかずっと目の話を書いている気がします。
それほど彼らにとって目がキーワードなんですよね。
目が澄んでいたらきっと星空もより綺麗に瞳に宿るんだろうなぁ。作者の目は充血気味ですが。
こんな時間まで書いてるからですね。

4/6/2024, 9:20:30 AM