モノクロ
永遠なんて、ないけれど。この世界に少しだけ色を足してくれるあの子の存在がいつか無くなって色を無くしてしまうなんてことは想像したことなかったな。モノクロの世界には夜しか来ない。一人で過ごせない夜をなんとか紛らわせて、迎えたよく知るはずの朝日は知らない顔をしていた。
普段は甘党のくせに朝のコーヒーだけはブラックが良いとせっせと豆を挽くその姿を眺めていた日も、ちょっと体を引き締めたいと午前中から連れ出されたあの日も、大音量の目覚ましに起きないくせになんで起こしてくれなかったのと八つ当たりしてきた日も、ちょっとおしゃれなモーニングに行こうと誘えばしっかり早く起きてきたあの日も。当たり前に朝日はそこにあって優しく照らしてくれていたはずだったのに。
9/29/2025, 11:48:44 AM