27(ツナ)

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「special day」

真夜中の公園でベンチに座って黙々とケーキを頬張る、ひとりの男子中学生がいた。
なんか気になってついつい声を掛けてしまった。
「…そんなに勢いよく食べるとノド詰まるぞ?」
「…。」
そいつは横目でチラッと俺を見ると無言でまたケーキを鷲掴みにして食べ始めた。

「お、おい。無視はねぇだろ。危ねぇからもっとゆっくり食べろ?…てか、なんでこんな夜中に中坊がひとりでいんだよ?」
「…。なんですか?説教ですか?」
「あ、いや別に、そんなんじゃねーけど、こんな夜遅くに中坊が公園でケーキ食ってんのどう考えてもおかしいだろ?」
威嚇してくる猫みたいにキッと睨まれる。

「おじさんには関係ないです。今日は僕の誕生日なので、ケーキを食べてるだけです。」
「へ〜、そら偶然だな!俺も今日誕生日なんだ!まぁガキじゃねぇから、ケーキは食ってねぇけど?」
仕返しに嫌味ったらしく笑ってやると、眉間にしわ寄せて不貞腐れた。

「あ〜じゃなくて、こんなとこに居ねぇで家帰れよ。親心配すんだろ?」
「…親、仕事なんで朝まで帰ってこないんで。」
「あっ、そぅか。わりぃ。なんかお前の見てたら俺もケーキ食いたくなってきた!残ってるもう1個のケーキくれよ。」
「はぁ…大の大人が、恥ずかしくないんですか?まぁ、おなかいっぱいだからいいけど。」
ぷいとそっぽ向きながらも俺に残りのケーキをくれた。可愛とこあんじゃんと頭をくしゃくしゃ撫でてやった。
「ちょっ!?なに!?」
「…誕生日おめでとう。」
「ッ!……お、おじさんも。おめでとう…。」
「おぅ。あんがとさん。」

7/18/2025, 11:08:04 AM