こくご

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 小学生の頃、鉄棒が好きだった。

 ただの固く黒い棒にどうしてあんなにも夢中だったのか今ではもう思い出せないけれど、鉄棒にぶら下がりながらよく空を見ていたことは覚えている。

 冬晴れのどこまでも高い空は吸い込まれていくような魅力がある一方で、一旦吸い込まれてしまえばもう地面に戻ってこれないような恐ろしさがあった。校庭にペタリと寝転びながら空をじっと見つめているときは、重力が徐々に逆転していっているかのような感覚を不安に思ったものだ。

 それでも、鉄棒にしがみついている間は安心して冬晴れの空に魅入ることができた。地面に深く突き刺さってびくともしない鉄棒は、掴もうと思ってもサラサラと逃げていってしまう校庭よりも幾分か心強い。命綱をつけてバンジージャンプに臨もうとしているときのような、気になっている子に話しかけるタイミングを探っているときのような、そんなスリルを感じていた気がする。

 今でも同じ気持ちになるのだろうか、それともまた違う発見があるのだろうか。
 今度また、公園に行ってみるのもいいかもしれない。


: 冬晴れ

1/5/2024, 10:42:50 AM