あの日は確か、なにかの記念日だった。
上手く思い出せないけど、確かにそうだった。
いつもはしかめっ面で、冷たい君は、記念日の日だけは暖かく笑うから。
本当は、人が好きで、話すのが大好きな君は、自分を出すのが下手くそだった。
いや、自分を出すのが怖かったのかもしれない。
どんな事があっても、私のそばにいて話を聞いてくれたから、きっと君は優しい。
そんな優しい君が傷ついてしまうのは、こんなこと言いたくないけど、しょうがないのかもしれない。
君と最後に会った日、きっと君は笑ってた。
そして、泣いていた。
「いつも、傷つけてごめん。ずっと言いたかったのに、言えなくてごめん」
君は、なんだかよく分からない表情で、私に謝り続けた。
いつからか、君は遠い国へと旅立ってしまった。
その日はちょうど、私の誕生日だった。
6/26/2024, 1:20:18 PM