「あの子っていっつも喋らないよね?」
「どうしてなんだろうね。」
「ひとりが好きなんじゃない?」
みんなが言う“あの子”は
私のことを言ってることくらいすぐ分かった。
私ぐらいしか一人でいる人はいないからだ。
私はひとりが好きなんじゃない。
ただ人と話したいけど話せないだけなんだ。
私はいつも日記を持ち歩いてた。
今も持ち歩いているのだけど。
私は,小学生の高学年になった頃から日記を書き始めた。
その頃から友達が離れていった。
最初の頃こそとても悲しくなった。
家で泣いたりもした。
今はそれももう慣れた。
そう思っているのに...。
私は一緒に話せる友達を求めてしまう。
ドンッ体に少しの衝撃があった。
振り返ると一番カッコイイと言われていた人がいた。
「ごめん。大丈夫だった?」
「...こちらこそ...ごめんなさい。」
心配の言葉をかけてくれた彼には申し訳ないが
私はその場から急いで消えたくて急いで家に帰った。
夜寝る前に書く日記が
習慣になったのはいつ頃なのか
「あれ?日記がない?!やばいやばいどうしよう。」
カバンを見ると日記がない。
あぁ急いで帰ってきたから忘れたんだ最悪。
誰も見られないといいなぁ
そう思いながらベッドで目を閉じた。
私はいつもより早い電車に乗って
人一倍早く教室に向かった。...はずなのに
私の席には彼がいた。
「あっ...あの。」
「あぁごめん。おはよ。」
「おはよう...ございます。」
「これって君のだよね?」
そこには昨日探してもなかった日記だった。
「私の...です」
「そっかごめんね。
俺がぶつかったから忘れてったんだよね?
俺が昨日預かってたんだ」
私は日記の中身を見たのかが気になったが
聞く勇気がなかった。
「これもごめんなんだけど少し中身みちゃった。
これからは俺と話そうよ。
ダメかな?朝のこの時間だけでもいいから。」
日記が見られたことが恥ずかしくすぎて
顔を真っ赤にして大きく頷いた。
「それともう日記は書かないでよ。
今日あったこと思ったこととかは俺が聞くからさ。
休み時間も俺と話そう。」
その彼の言葉から
私は何年も続いた日記を書く習慣に
終止符を打つ事にした。
閉ざされた日記それは私の生きた証
でももうこの日記を開くことは無いかな
だって彼がいるから
─────『閉ざされた日記』
1/18/2023, 8:50:24 PM