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また知らない天井の下で目が覚める

私好みのオリエンタル柄の天井
昨夜の私はこの天井ごと
横で寝ている女性の事をさぞ褒め、
さぞ盛り上がったことだろう
今の私の頭には頭痛しか残っていない訳だが

床に乱雑に散らかった衣類から
自分のものを取り出して着ると
ベッドの上の彼女が寝返りを打って背中を私に見せた

軽く化粧をして身支度を整える時間を経ても、
その人は目を覚まさなかったので
彼女のものと思われる衣類をたたみ、
もう二度と見ることの無い天井に別れを告げ
覚えのない玄関ドアを開けて外に出た

朝なのに重い雲が空をおおっている
しかし私の足取りは軽やかで、
頭の鈍痛など吹き飛ばすほどに心が弾んでいた

今日が月曜日だから
たった一つの希望に出会える日だからだ

土日はいつも「こう」だ
金土の夜は浴びるほど酒を飲んで
気がつくといつも知らない女の子の家のベッドで
一糸まとわぬ姿で寝ている

こんな生活を続けていたら、
いつか女の子に刺されるか、
頭が体のどこかに不調をきたすと思うのだが、
今のところなんとか生きている

たった一つの希望……
ないし想い人に会えない土日は
寂しくて苦しくて敵わない
酒と女の子たちに溺れないと気が狂いそうなのだ
こんなことをしてはいけない、と思うのに、
何故か毎週同じことをしている
想い人に対する私の異様な恋心と一緒だ
心の中で微笑をこぼし、
たった一つの希望に会うために
私は満員電車に果敢に飛び込む

荒れ果てた土日を過ごした後に
出会う月曜日の想い人は、女神のようだった
今日のような日は
どんよりとした曇り空の地上を照らすミューズの如く
美しく尊く、絶望的に輝くのだろう

3/2/2023, 11:52:58 PM