いぐあな

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300字小説

騒々しくも穏やかな日々

 少女の肩に置いた少年の手を振り払う。
「ガキが一丁前に色情霊になってんじゃねぇ!!」
 俺は少年……の霊の顔に金棒をぶち込んだ。

 閻魔大王に頼まれて、鬼の俺が守護している少女は徳の高い坊さんの生まれ変わりらしい。まあ、そのオーラの眩いこと、野火の焔に蛾が誘き寄せられるように霊が寄ってくる。
「地縛霊なら大人しく地面に貼りついていろ!」
「浮遊出来んなら、とっとと閻魔大王の裁定を受けて来い!」
 おかげで俺の鉄棒は休まることがない。

「のんびりとした良い日だなぁ」
 自分の平穏な日常は俺の活躍だと知らない少女が、のほほんと空を見上げて笑う。
「……まあ、悪くないな」
 悪霊を締め上げながら、俺も春霞の空に舞う桜を見上げた。

お題「平穏な日常」

3/11/2024, 12:16:27 PM