「無垢で居るにはいろいろ知りすぎたし、いつまでも子供のままじゃ居られないんだよ」あの人はそう言ってアパートを出て行った。ひとりになったアパートで、あの人が置いて行った煙草をあの人と同じようにベランダで吸った。流れゆく時間に沿って変わる街の動きをぼんやり眺める。煙草は頭がくらくらするから好きじゃない。街を眺めていると虚しさで涙があふれてくる。もうだめだと思った。だから私はいつまでも子供のままなのかもしれない。
5/13/2023, 7:10:06 AM