カムパネルラ

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やわらかな微熱に身をつつんだ。
身体がだるいということはなく、むしろ心地よいほどの微睡みに落ちていく。

まるで夢の中にでもいるような感覚。
恋人と口付けを交わした時に似ている、甘く火照る感覚。
例え方は様々だが、そのどれもが僅かに幻想的な雰囲気をまとっている。

本当にそんな感覚なのだろうか。
隣で眠る彼を見やる。
美しい彼の顔は長い睫毛が目を引く。
ゆっくりと顔を近づければ、彼を起こさないよう控えめに口付ける。
しかし、もう慣れてしまったからだろうか、身体が火照るほどの感覚は無いように思われた。

もう一度眠ろうと寝返りを打つ。
その瞬間、後ろから抱き寄せられた。
驚いて振り返ると間髪入れずに重なる唇。
甘く、火照る感覚。
微熱は温度を上げたようで。


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『微熱』

11/27/2024, 9:59:15 AM