通り雨。
小学生の頃、近所にすごく広い公園があった。ジャングルジムがあったとこ。
多分直線で100メートル走れるくらい。端の方にはちゃんとブランコまであったし、学校が終わったあとはみんなそこで遊ぶ感じ。
一度だけだけど、すごくおかしな空だね。って誰かの言った夕方があった。明るいのに薄暗い。一枚変な色のフィルターがかかったみたいな色だった。ミルクティーみたいな、でも5時近いから薄いピンクも入っていて、とにかく変な色。
「だめっ! こっち来て!!!」
気付いたらザッと雨が降ってきていて、みんなが逃げ惑う。その時にまた誰かがそう言って、声を頼りにその子のそばへ集まった。
「なにこれ!」
「すごーい!」
振り返ると公園は真ん中で真っ二つに割れていた。雨の降る世界と、私達のいるそうじゃない世界。
今でこそそれがどんな気象状況で起きるのかとか分かるけどその時は本当に不思議で、ギリギリまで近づいて手を突っ込んで。なんて、みんなでしてみたり。
変な色のフィルターの掛かった雨で真っ二つの世界。あれほど変な色の空を見たのはこの時だけだったな、と今振り返っても思うくらい。
9/28/2021, 5:34:55 AM