ミヤ

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"魔法"

ふわりふわりと。
空から雪の欠片が舞い降りる。
無数の雪片は、まるで星が降るようで。
無心で、いつまでも眺めていられる。
吐き出した吐息は白く、指先はかじかみ赤くなっていたが、陽が落ちて辺りが暗くなるまで雪を鑑賞していた。

静まり返った廊下に自分の足音だけが鈍く反響する。
回廊の電灯は既に消え、しかし、差し込む月光によって意外なほどに明るい。
青く滲むような夜にはらはらと降る雪の影が混ざる様子は、一幅の絵を想起させた。

トン、トン、と音を立てて階段を降りる。
普段は自分の音は最小限にすることが癖になっているけれど、たまに大きな音を立てたくなる。
一歩を踏み出す毎に広がる色の波を見ると、自分がまだちゃんとこの世界に存在しているのだと実感できるから。
最後の一段は軽くジャンプ。
ざらりとした地面の感触を音で認識する。
色と、音に満ちた視界は狂っているのかもしれない。
窓から落ちる月の光を踏めば、まるで降り続ける雪の中に立っているような、魔法のように不思議な感覚に囚われた。

久しぶりに勝ち取った連休は、思いがけず雪見の一日となった。たまにのんびり過ごすのも悪くない。
悪くないどころか、むしろもっと休みたい。
休みを下さい。

2/23/2025, 1:45:35 PM