小学校の頃仲の良かったアイツとは、中学でクラスが離れてから全く話さなくなった。
「小学校卒業か、寂しいな」
『中学も一緒なんだからいつでも会える。俺たちの関係は変わらないだろ。俺たちは深い絆で結ばれてるんだよ。』
歯を出してニカっと笑うアイツ。
僕は力強く頷いて、その後はいつも通り大好きなロックバンドの話を日が暮れるまでしていた。
廊下でたまに見るアイツは、同じクラスであろう友達4人で楽しそうに話してる。いつからか、アイツを見かけると僕は逃げるようになった。入学して、3ヶ月が経とうとしているというのに、未だ友達ができず、一人で行動している自分の姿を見られたくなかった。
ある雨の日。特に話す友達もいないので、1人自席で本を読んでいると、話したことのない人から声をかけられた。誰かが僕のことを呼んでいるらしい。アイツだった。
『よっ!久しぶりだな。最近全然会わなかったもんな。でさ、話があるんだ。実は俺、軽音部を立ち上げることになって、それでどうしてもあと1人必要なんだ。入ってくれないかな。おまえにキーボード頼みたくて。俺がボーカルで、ギター、ベース、ドラムは同じクラスに経験者いたからさ、あとキーボードが必要なんだ。頼むよ。』
嬉しかったはず、だけど引っかかった。
「僕が最後なんだ。」
『え?』
「あんだけ小学生のとき仲良くて、深い絆で結ばれてるとか言ってたのに。数が足りなかったから、誘ったんだろ?キーボードできる奴がお前のクラスにいれば、俺は必要なかったってことだろ?」
『違う。俺はお前とやりたくて。』
「もういいよ。ごめん。取り乱した。少し考えさせて。」
『わかった。』
「じゃあ」
『あぁ。ちょっと待て。本当に違うからな。俺はお前を一番に誘いたかった。でも、最近、見かけるとすぐどっかいっちゃうし、避けられてるのかなって思って。嫌われたと思ってた。だから、全部形にしてから、声掛けようと思って。俺は、お前と一番やりたいんだよ。だから…真剣に考えて欲しい。それだけ。引き止めて悪かった。じゃあ』
「こっちこそほんとごめん。勝手に気まずくなって。本当は誘ってくれと嬉しかったのに素直になれなかった。やるよ。」
『ほんとか!?やったー!!!!!』
「今日一緒に帰らない?」
『もちろんOK!!』
アイツのニカっと笑った顔を見たのは卒業式ぶりだ。
その日僕たちは、日が暮れた後もしばらく、ロックバンドの話をした。やっぱり、僕とアイツは深い絆で結ばれているらしい。
3/6/2026, 12:46:26 PM