とある恋人たちの日常。

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 俺は救助を終えて、病院に戻る。俺はこの後の時間は病院待機の予定だったのでロッカーて着替えていた。
 
 するとロッカーに入ってきた先輩が俺を見て驚いた顔をする。
 
「あれ、ここに居たんだ?」
「はい?」
 
 いつものタートルネックに頭を通しながら、首を傾げると、先輩はとんでもないことを言った。
 
「いや……彼女が運ばれていたから。戻ってきたし、居なかったからてっきり……」
 
 その言葉を聞いて、俺は背筋が凍った気がしてロッカーから白衣を掴んでそれを羽織りながら、駆け出していた。
 
 途中で走っていたのに気がついて、早歩きで診察室を探す。
 すると、明るく聞きなれた声が耳に入った。
 
「ありがとうございましたー!」
「あ、待って……ん、なにしてんの?」
 
 腕を吊って出てくる恋人と、後ろから追いかける俺の師匠の先生が出てきた。
 
「あ、いや……」
 
 すると師匠は悪い笑みを浮かべた。
 
「ははーん、心配して来たな?」
 
 医者としてあるまじき行動だと思い出して、冷や汗が止まらない。
 すると、俺に近づいて頬を膨らました彼女が顔を覗き込む。
 
「ダメですよ、先生」
「うん、そうだね。ごめん。心配したら飛び出しちゃった……」
 
 だけど、俺の手を取って優しく、そして俺だけにしか聞こえないくらいの小さい声で微笑んで言ってくれた。
 
「でも、凄く嬉しいです」
 
 すると彼女の後ろから、冷ややかな声がかかった。
 
「まったく、白衣も裏返しだし格好つかないね」
「え!? 先輩から聞いて慌てて飛び出して来ちゃったから……」
 
 俺は慌てて白衣を着直した。
 
「ん? ロッカーから駆け出した?」
「え!? あ!!」
 
 俺の師匠である先生の後ろに、暗雲が立ち込めているのを感じた。
 
「恋人が心配なのは分かるけど、お前が廊下を走るな!」
 
 ハイ、コモットモデス。
 
 俺は許可を貰い、恋人を家に送った後、師匠から懇切丁寧なお説教を頂戴しました。
 
 
 
おわり
 
 
 
九十八、裏返し

8/22/2024, 2:48:22 PM