ふうり

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「ねぇ、あれみて!」
緑色の小さな手で君は僕の手を掴む
そして目の前に広がる景色を見せてくれた
それは宴会場だった
様々な化物…想背者(そせいしゃ)と呼ばれる存在達がぎゃーぎゃーと騒ぎながら笑い合っている
2mある三つ目の巨人 
象のように長い鼻を持つネコ
豆電球に手足が生えているやつに
ドレスを着た紫色のドラゴン
そんなのが大量だ
かく言う僕も彼らと同じ想背者なのだが

手を掴んだ君は、その光景を指さしてキラキラとした瞳でこちらを見つめてくる。
緑色の小鬼のような君は、小さな足でここまで僕を連れてきてくれたのだ。
「わかった、一緒に行こう。」
その好意を無下にすることなどできない
僕が承諾すると、君は口を大きく開きにっこりとなる。
「いこ!いこ!」
小さい手に似合わない怪力で、僕はなすがままに引っ張られる。
淡い光に包まれ、酒と想いの匂いにまみれたその場所へ、僕たちは足を踏み入れた。

まさか
これが最後の景色なんて思いもせず


お題『君と見た景色』×『宴』

3/21/2025, 11:04:50 AM