シロツメ ナナシ

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『優しさ―――、』


優しさに甘えて生きてきていた


そういう、本当は凄いこと
本当は大切なものに私が気づくのは
いつも決まって……無くしてから


どれだけ心無い言葉を向けてきたか
どれだけ無神経に使ってきたか
どれだけ彼が耐えてくれてたか
どれだけ思いやりがなかったか

私は愚かな私を……
どんなに恨んでも恨みきれない

このダメ男は役に立たないと
私からぶった切った

こんなのより
もっといい人はいるんだから!


………と、思い立ったのもつかの間

次も、次も、そのまた次も……
同じような人……いや、
初めての彼より皆……残念すぎるというか
下手すると信じられなかった……

甘えさせて貰えないと言うか……
察しが悪すぎるというか……
何故かその人の生活の
面倒見なきゃ行けないとか……
身に覚えのないお金を払わされるとか……

……もっと最悪だった


あの人のところに戻りたい

そんな気持ちでいっぱいだった
だけど……愚かすぎる私
あれだけ甘えてたのに
他人と比べないとあの人の良さに
ちゃんと気付けないとか……ダサすぎる

こういうのは
男の役目だと思ってたのに
……情けな……


寄りを戻す……なんて、図々しいか……
やっぱりあなたは優しかったんだ!
……なんて逆の立場なら、私なら拒否る
都合のいい人としか思われてないもんそんなの

……なのに……、彼なら……
そんな私を許してくれるんじゃ?
なんて……僅かにでも考えてるのが
本当に愚かすぎて……情けない……

意を決して せめてと思い、
彼を知る知人にそれとなく聞いてみた


―――結婚までしてるらしい

それも……ものすごく幸せそうだった、と


吐きそうになった……
自分で自分が許せなかった…


私は彼の……優しさを使うだけ使って
捨ててしまったんだと…痛感させられた

私に残ったのは……
無駄に頑張らされた悲しい時間と
わがままで甘えまくってた時間と
最初の彼以外の
……忘れてしまいたい記憶ばかりだった


〜シロツメ ナナシ〜

5/3/2026, 6:06:22 AM