雪が降る日は天使の日。相澤くんと、天使の肉を食べることになっている。
私は安っぽくて硬い肉の方が好きだけど、相澤くんはそうでもないらしい。
いつも相澤くんは少食なのに、天使の肉がおかずだとご飯を3杯も食べる。
相澤くんは毎日が雪ならいいのに、と笑った。
人間は救われることを諦めた。
そして救うと言っておきながら、人間の苦しみの根源に為す術もなかった天使を私たちは呪った。
食糧不足を解決するために、国は天使を食品にしてしまった。
そして天使にとっては不幸なことに、思いのほか美味しかった。
天使を食べたあと、相澤くんは外に出て地面に敷き詰められた雪の上で仰向けになる。
彼は手足をばたつかせ、呻き声をあげる。何を言っているかは聞き取れない。
雪の上で腕を動かした跡が翼に見える。
スノーエンジェル。
ふと相澤くんが呟いた。
「オレ、天使になりたいんすよ。」
12/15/2024, 1:45:26 PM