お題:寒さが身に染みて
暖かい部屋にいても、着込んでも、布団を被っても、身体が震えて「寒い」と訴えてくるから、私の身体は寒さに染まりに切ってしまったのだと思う。
錯覚だった。指先が冷えていくように心根までも冷えて、瞬きがゆっくりになり、そのまま瞼を閉じたら凍ってしまうような恐怖と安穏。
寒さには魔力がある。
「何も考えたくない」とか、
「余裕がない」とか、
「優しくされたい」とか、
「抱きしめられたい」とか。
「それが手前の全部だ」と
思わせられるからこの魔力は厄介だ。
そんなことを考えていたらまた身震いをした。寒くてしょうがない。左手で右手の指先を擦った。少しも温まらない。寒さの前では私は無力で、どうすることもできないまま魔力に染まっていく。
黒や藍の水滴が染み、模様を作って、何かになる頃には私は眠りについていることだろう。そして目が覚めたら、鼻先が冷たい。いつも通りの朝が来るのだ。
1/11/2026, 3:12:30 PM