ね。

Open App

「わあ!これが雪なの?きれいだねえ。」
南国で育った君は、目をキラキラさせて言ったっけ。それから、はあーっと白い息を吐いて、楽しそうに歩きはじめたんだよな。可愛かったな。

それは、″大人になるまでには雪をみたい″という君の願いが、ギリギリに叶った日だったんだよ。嬉しそうだったな。

寒いのが苦手なくせにさ、コートも羽織らず外に飛び出しちゃって。鼻のアタマを真っ赤にして、満面の笑みで僕に言ったんだよな。
「19才の誕生日の朝に、雪が降るなんて!なんて素敵なプレゼント!」
って。大はしゃぎであちこち走りまわる君の姿が、本当に本当に愛おしかった。



❄❄❄



静まりかえる雪の朝に、僕はひとりコーヒーを飲みながら、君を思い出す。
ずっと一緒にいることはできなかったけれど、君との記憶は、すべてあたたかい。

12/18/2025, 8:09:35 AM