蓼 つづみ

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昨今のシールブームをテレビで見かけるたび、
私はあの人を思い出してしまう。
三歳の娘に貼られたシールを、
気づかないまま一日中つけていた人だった。
靴下の裏。 背中。 たまに腕。
こちらが指摘するまで、本当に気づかない。
呆れるほど無防備で、
だからこそ家の中はきっと、
そうしてよく小さな笑い声に満ちていたんだろう。
今でも、 キャラクターシールの特集や、 レジ横のキラキラした台紙を見るたび、 胸の奥が少しだけ軋む。
私は、あの人を心から尊敬している。
だからこそ、 会うことはできない。
どうして、 あの人は私の言葉を拾えたのだろう。
けれど尋ねたってきっと、 「特別なことはしていない」と、 そんなふうに平然と言うのだ。

題 忘れられない、いつまでも

5/10/2026, 8:15:20 AM