泣かないで
僕の好きな子は魔女みたいだ。
ミステリアスで、魅力的で、たまに甘いこと言ってくれて、目が、耳が、足が、その子のことを離さなくて。
いつも目で追いかけていたし、いつも声が聞こえていたし、いつも君の後を追いかけて
まるで呪いだった。
「泣かないで。」
なんて言われたら、泣けるわけがなくて、
「そうだよね。ごめんね」
そう返す。
今はあの頃好きだった魔女はもうこの世界にはいなくって、
あの子の言葉だけ残っている。
「泣いちゃだめなら、どうしたらいいの。」
魔女の呪いの言葉が僕を縛って、泣けなくて。
足が、魔女の後を追いかけて
「いま行くからね」
魔女の呪いは強力だった
11/30/2024, 1:30:06 PM