#パラレルワールド
雨予報は、なかった。
『帰るまでに止んで良かったね』
放課後の下駄箱、雑談によりガヤガヤする会話に
心の中で同意する。
いつも入れていた、折りたたみ傘をどこかに
忘れてしまったらしく、雨を見ながら頭を抱えて
いたところだった。
ざわめきから離れるいつもの帰り道
ふと、凪いだ水溜りを何気なしに覗くと
『あちら』も『こちら』を覗いていた。
そして、悪びれもなく鞄から出した
折りたたみ傘をこちらに落とした。
端から見たら逆再生のように見えたことだろう。
あちら側の自分はもう居ない。
そして、水溜りを踏んでも靴が濡れただけだった。
9/25/2025, 12:57:13 PM